2018年5月29日火曜日

夜泣橋

夜泣橋  佐土原町東上那珂






夜泣橋の由来

 昔のこの橋は木の橋で、宮崎飫肥に至る街道筋に存し、岩見堂の福城寺前には茶屋や馬の水呑場があり昼間は賑わったが夜は人も通らぬ寂しい村里だったという。
 この口伝えは、双子を持った母親がその一人をこの橋に捨児し、赤ちゃんは一晩中泣き続けていた。
 里人が朝早く行ってみたら、その姿はなく人々は口々に星の世界に昇ったといい、また心ある人が、拾いあげ育てたとも語り伝えられて、それ以来橋の欄干の柱の角を削り取り、その木片に火をつけ明るく輝く炎を泣き叫ぶ赤ん坊の全身の上にかざして大きく輪を描くとピタリと止む安らかな寝息に変わった。
 人々はこの橋が、我が身を燃やし夜泣子をなおして下さると、救いを求めて「夜泣橋」と呼ぶようになったという。

(宮崎の神話と伝説より)
平成十年四月吉日 岩見堂地区









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