こたいけのかもあみりょう 宮崎県指定無形民俗文化財
佐土原の上田島に古くから尊崇を集める巨田八幡神社がありますが、そのすぐそばの巨田池には冬になると多くの鴨が飛来し、その鴨を四百年以上昔から伝わる猟法で捕らえるのが「鴨網猟」です。
現在はこの巨田と、石川県片野[LINK]、鹿児島県南種子島町[PDF]に残る貴重な古式狩猟地である。
鴨網猟が伝承されている巨田池は元々自然の池だったと伝わっていますが、藩政時代に灌漑用池として造成、天保年間に改修を加え、戦後も築堤の工事を行うなどの補修を続けています。
鴨は日中は池で羽を休め日没後に餌を求めて飛び立ち、日の出の頃にまた池に戻ってきます。その時に鴨は木立のすぐ上を飛びます。
この習性を利用し、池の外周の木の枝を凹の形に落とし鴨の通り道を開き(越)、木の周辺に伏せる為の場所を作って(坪)、竹と木でY字型にした内枠に網を張った越網(こえあみ)を構えて待ち、頭上を鴨が飛ぶ瞬間に網を投げて鴨を落とします。
この猟法は、古くから宮崎平野の沼地・溜池で広く行われていたそうです。
越網を投げる機を見る能力、中腰の姿勢から頭上の鴨に向かって正確に網を投げる技量等、熟練した技と経験と身体能力が必要とされるとされ、江戸時代には武士の鍛錬としても行われていたそうです。
現在では毎年十一月十五日から翌年二月十五日の間、日没後にのみ猟が行われていますが、昭和の初めには数万羽は飛来していたといわれる鴨も、近年では五、六千羽にまで数を減らしているそうです。
現在は「上田島巨田地区鴨越保存会」によって池周辺の伐採や整備、技術の保存が行われています。
また、許可を持たない方の猟はできません。
巨田神社前の案内版
越網とかつての狩猟の様子(図の『日本山海名産図会』は伊予の峯越鴨の捕獲状況・絵図です)
現在の「坪」
越網のデモンストレーション(2023年11月12日) ※鴨の代わりに空き缶を投げています
参考
◆宮崎県史 資料編 民俗1
◆みやざき文化財情報 http://www.miyazaki-archive.jp/d-museum/mch/details/view/2015
◆環境省/自然環境局/日本のラムサール条約湿地
https://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/ramsarsitej/RamsarSites_jp_web36.pdf
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